Vol.38  「説明できないリハビリ」

PAPER BLOG ・・・ヘルパーさんに読んでいただいているもの。(ものすごく不定期である)プリントアウトして、チラシのようにテーブルに置き、ヘルパーさんがお手すきの時に読んで頂こうとしたが、私がのそのそと遅い食事のときなどは、ヘルパーさんはすぐ仕事を終えてしまうので、ブログを読み終えて、感想を書いて読ませてくださるときもあるのである。。。

Vol.38  「説明できないリハビリ」

現在私が通院で受けているリハビリ療法は認知神経リハビリテーションといいます。リハビリ療法士になるためには国家試験をパスしなければならないそうですが、その試験問題にも出題されない療法だそうです。
なぜ私がこの療法を受けるようになったのか考えてみると、1度目の脳出血で重度の右片麻痺で、その麻痺による自分の恰好は不自然なものになってしまったことでした。
脳出血で約2年以上、新宿の大久保で痛みを取るリハビリをPTのリハビリ療法士から受けていました。しかし徐々に私は歩くと麻痺の右手は肩以上に持ち上がるようになりました。この状態は異常で、OTのリハビリ療法士に診てもらうことになりました。そのとき診てくれたのが、OTの中里瑠美子さんでした。
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PT Physical Therapy (Therapist)→ 理学療法理学療法士
OT Occupational Therapy (Therapist)→ 作業療法作業療法士
理学療法は下半身
理学療法は主に下半身を中心にリハビリを行う。
基本的に、理学療法では普通の生活に戻れるまでリハビリを行う、
といったイメージです。
つまり、患者さんが普通に生活できるまで、必要最低限の生活レベルまでリハビリを行うといった感じです。

作業療法は上半身
作業療法は主に上半身を中心にリハビリを行う、ということです。
基本的に、通常の生活ができるようになってから、そこからプラスαで動作が改善できるようにリハビリを行うといったイメージです。
つまり、歩行や立ち上がり動作なのどの、必要最低限の動作が出来た後のリハビリです。
https://kabu-shosinnsha.com/pt-ot-tigai/ 「5年目からの医療事務」

でも認知神経リハビリテーションは、リハビリ療法士さんおひとりで身体全部を診てくださるので、PTとOTの区別はなくなる気がしました。
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当時の私は頭はどことなくもうろうとしていて手のリハビリがはじまりました。当時自分が書いていたリハビリレポートがあります。これは中里さんに言われて始めたものです。内容は感じることがメインなので認知神経リハビリテーションが始まっていることがわかるのですが、PTレポートもあり、日付はあったりなかったり・・・PTのリハビリ療法士さんはいつからこの療法で診てくれたんだろうか見てもよくわかりません。リハビリレポートを書き始めたばかりの私は、頭が混乱していて、時系列に記録をとることが出来なかったようです。

この療法により、片麻痺時には右肩の亜脱臼が治ったり足の装具を外して歩けたりする変化がありました、リハビリではストレッチのように身体をあまり動かしませんでした。動かしていたのは頭でした。今まであまり経験がなかった、自分の身体のある部分について感じようとしたり、その感じたことを言葉で答えるために頭を使っていました。

リハビリ療法士さんは、私に対して、麻痺でわからなくなった(と思っていた?)感覚が徐々にわかり出す問いを出します。本当にわからないの?感じてみて、という風に。感覚を感じようとすると、麻痺になってから感じてこなかったと思っていた感覚は、麻痺になる前に感じていた感覚とは大分違う感覚でしたが、感覚はないわけではなく、弱い感覚がありました。リハビリを続けると徐々にその感覚は自分の物と感じはじめて、最終的に自分の使える感覚になっていました。

このリハビリ、私は説明できないと言って逃げてました。。。
この療法を考案したのはイタリアの医師(カルロ=ペルフェッティ氏)だとは知っていました。
でも先日何気なくその方のプロフィールを見てちょっとびっくりしました。神経病と精神病の臨床が専門の医師とあったのです。私はてっきりリハビリテーション専門の医師なんだろうと思っていました。
これを知ってなぜか、説明しようとするのではなく、ありのまま表現するだけでも、読んでくれた方に、自分が受けたリハビリの感じが少しでも伝わるかもしれない、そんな気がしたんです。

リハビリテーションに携わっていて、脳梗塞など脳が原因の身体の障害が回復しないのはなぜか、損傷しているのが神経回路網なら、治療すべきは脳であり、「中枢神経系」の再生をはかるべきではないかとカルロ=ペルフェッティさんはお考えになったそうです。
私は脳出血になって、偶然入院していた病院のリハビリテーションで患者を診ることができる中里さんに治療をお願いし、認知神経リハビリテーションという療法を体験できて、回復を感じることができるとわかり、現在もこの療法で診ていただいています。

リハビリ療法士の学校で学習しないのに、この療法で患者を診ることができるリハビリ療法士はいらっしゃいます。そういう方は独学されたりしていると思いますが、あるリハビリ療法士さんは、リハビリ療法士の知識があれば、治療の考え方の本を読み患者を診ることはできるのではとおっしゃっていました。
これまでに何人かのリハビリ療法士さんに認知神経リハビリテーションで診ていただきました。この療法で患者を診て成果をだ出すことができるリハビリ療法士さんは、「すごく」がつくほど低姿勢であることが気になりました。心配することはなさそうですが、脳のリハビリとも言われる療法で、患者の感じ方を変えようとしているリハビリと思うとちょっと慎重になる気もします。