久しぶりに感じた右手の温度感覚

これに気づいたのは、透析終了後に止血をしていただいているときだった。

私はグラフト(人工血管)で透析を行っており、止血は強く押さえないよう言われており看護師さんか技師さんにお願いしている。
麻痺の肘の曲がった右手での止血は、片手で針孔を押さえ、もう片方の手で動かないよう右手首を持つ。いつも大変そうで本当に感謝している。
 
先日、止血がはじまると、右手首が熱い。押さえてくれていた技師さんの手の熱さが感じられるなんてすごい、とはっきり覚えていた。

先週止血時にまた右手首が熱く感じた。しかも止血してくれていたのは、熱さを感じたときと同じ技師さんだった。
私は「平熱は高めですか?」と聞いてみた。
「低いほうだよ。35.5℃くらいだから。」
「低い?」
ちなみにこの日の私の体温を聞いたら35℃台だった。自分の体温に近い技師さんに手首持ってもらい熱いと感じた? 自分の温度感覚は混乱しているみたいです・・・とリハビリの先生にメールを送った。

先生の考えでは、体温が急に変化しないが、手足や顔の温度は変わることがあり(サーモグラフィーで確認できる)、実際技師さんの手は温かった可能性もある、というものだった。人に触れる機会が多い職業の人の手の温度は高くなるそうだ。またお手当という言葉は、本当に手から心身伝わるものがあると考えられている。

先生のメールを読み、熱いと感じたことは実際もそうだった気がしてきた。
考えてみれば、手が熱いと感じた技師さんが止血をしてくれたのは2回だけではなく、過去に何度もある。最近右手は、自分に触れたものの温度を感じはじめたのではないか。

でも今はひとりの技師さんから熱さを感じている。
単に他人の温度を感じるようになりはじめたのなら、私の右手に触れたいろいろな人の体温がわかりそうな気がする。しかし現状ひとりからしか体温は感じておらず、人の体温が熱く感じるのは過剰反応にも思える。たまたま分かった温度感覚で、粗削りっぽいかもしれない。
止血を通じて透析終了の安心の感情が私には可能性はあり、止血の一環として技師さんが持った私の右手首には、技師さんの体温と自分の安心感が入り交ざったものを感じていた気もするのである。